エリーナ/チェルシーってどんな子?

 


なぜこの子には名前が二つあるのか、ですが。
一番最初から順を追って説明するのが一番かと思います。
と、言うわけでエリーナの話から。

エリーナは1986年、オオイケから発売されたファッションドールです。(注1)
……とはいえ、路線としては大人向けだったのではないでしょうか。
みなぎは1981年生まれ。
世代的にはエリーナと合っていますが、正直見たことも聞いたこともありませんでした。
友人連中で持ってる人もいなかったと思います。

公式サイトによれば、そのプロフィールは下表のようになっています。

誕生日 8月23日(乙女座)
血液型 A型
年齢 17歳
職業 高校(インターナショナルスクール)2年
身長・体重 165cm 43kg B83 W57 H83
出身地 パリ(5才までパリにいた)
趣味 童話・ショッピング
ロマンティックな小物を集めること
好きなファッション ロマンティックなドレス
家族 父:フランス人ジャーナリスト
母:日本人ファッションデザイナー
  (20で渡仏・結婚。現在日本在住)
祖父母:(パリ、モンマルト在住)
備考 「サヴァー(元気ですか)」が合い言葉の快活な女の子

“普通の女の子”をイメージしたものになっていると思います。
個人的感想をいえば、父親が現在不在である点が面白いですね。
リカちゃんもそうですし、着せ替え人形に男親は不要なのかもしれません。閑話休題。

このエリーナの最大のセールスポイントは、ボディの可動性。
SAJも真っ青なほど見事なポージングが可能なのです。(後述します)
が、残念なことに生まれてくるのが早すぎました。
現在ならば大うけしそうなこのボディも、当時は画期的過ぎてあまり注目されなかったようです。
ジェニー・リカ・バービーといった人形で市場が独占されていたせいもあるでしょう。
プロモーションで出遅れたエリーナは、ひっそりとその姿を消していったそうです。

(注1):コンプリートジェニーファイルによれば、エリーナのボディは(株)オオイケで1987年開発とあります。
当初はこのボディではなかった……ということもなさそうですが。
とりあえずオオイケ公式発表を基準とします。

 


さて、時は下って1991年。
エリーナ発売から5年後、タカラから新しいドールが発売されました。
その名前はチェルシー。
新しいお友達……とありますが、実はエリーナが名前と発売元を変えただけのものでした。

このあたりの事情は、正直よくわかりません。
オオイケがタカラにエリーナを売り込んだのかもしれません。
タカラがエリーナの権利をもぎ取ったのかもしれません。
また、タカラとオオイケが協力関係にあったものの、何らかの理由で破綻したのかもしれません。
オオイケのHPにはタカラから圧力があったとほのめかす文面がありますが、タカラ側からの発表がない以上、真相は藪の中です。

この辺の人形界黒歴史を紐解いてもキリが無いので、さくさく次に進みましょう。

 


チェルシーのキャッチコピーは『夢見るバレリーナ』
プロフィールをまとめてみると下表のようになりました。

誕生日 8月1日(獅子座)
血液型 A型
年齢 17歳
職業 バレリーナ
特技 バレエ
出身地 フランス
趣味 ロマンチックな小物集め
ロマンチックな洋服が大好き!!
好きな色 サーモンピンク
好きなもの スコッチキャンディー
大切な宝物 赤い石のついたティアラ

まず名前の変更。
ジェニーと同じ日にするために誕生日の変更。それに伴う星座の変動。
職業がボディ構造を活かしたものに変えられ、家族構成が消えました。
元気路線で売っていたエリーナに対し、少女趣味を前面に押し出しています。
宝物の『赤い石のついたティアラ』は、『不思議な力の出る秘密のティアラ』と紹介されています。
ちなみにこの年、ジェニーは歌って踊れるアイドルとしてデビューしていました。

 


当時のジェニー誌の広告を見てみましょう。
上が’91夏号裏表紙、下は中広告の一部です。
画像クリックで大きいサイズで見れます。

二人は、Mr.ダンディーの紹介で、出会ったの。
会ってみてビックリ!!
二人は、とても似ているの。
そしてジェニーはマイク、チェルシーはティアラに同じ赤い石が……。
二人に何か秘密があるのかしら……?!

当時小学生にして人形者だったみなぎの感想はぶっちゃけ、
『どこがジェニーに似てるんだ、ふざけんな』でした。
子供はシビアだ……
でも正直ジェニーとチェルシーは似ても似つかない顔してますよね。

当時の売り方にも問題があったかと思います。
まず裏表紙。
よーっくみると、確かに腕が横に開いています。
左足もよく見れば横に90度開いた状態になっているのがわかります。
が。
そのことに関する説明書きはゼロ。
画像も大変わかりにくくなっています。


中広告には一応ボディに関する説明があります。
手足の関節が自由に動かせて、無理なくバレエのポーズが取れます。
しかし、写真は直立不動の体勢。
この程度の説明で、チェルシーボディの素晴らしさが伝わるわけもありません。

もしも当時、SAJやフォトジェニックJのようなボディ性能を前面に出した戦略をとっていたならば。
チェルシーの運命はまた違うものになっていたのではないかと思います。

 


結果として、チェルシーもまた短命に終わってしまうことになります。
コンプリートジェニーファイル(2001年発行)によれば、販売時期は1991年6月から10月と、非常に短期間。
その後キャッスルなどでの復活もあったのかもしれませんが、一般市販は全くされていません。

ここで少しだけ気になるのがチェルシーというその名前。
明治製菓から発売されているスカッチキャンディーと同じ名前ですよね。
好きなものがスコッチキャンディーというのも……ジュリアナ同様タイアップの失敗のせい?
ですが特にタイアップ企画はなかったと思います。
昔からタカラはその辺のところ結構いい加減だったりするので、全くの無関係かもしれませんね。

さて、不遇の半生を歩んできたエリーナ/チェルシーですが。
タカラ公式サイトではジュリアナと同様、『フレンドドール』と呼ばれ、名前の記載がありません。
が、確か当初はきちんと『チェルシー』と呼ばれていたように思います。
この辺も裏で何が起きているのかわかりませんが、おそらくオオイケのエリーナ復活活動が影響しているものと思われます。
現在オオイケのHPではエリーナ復活のためのアンケートを行っています。
アンケート総数が規定に達すれば、もしかしてエリーナが本当に復活するかもしれません。
興味をもたれた方は、協力してみてはどうでしょうか。

 


ところでエリーナとチェルシーの見分け方は?といいますと。
正直に言いまして、みなぎはチェルシーを持っていないのでわかりません(こら)
わかる範囲でお答えするならば、瞳の色が違います。
一般市販されたチェルシーの瞳の色は茶色。対してエリーナは青色となっています。
……でもドールの瞳の色なんてバージョンによって違うのが常識ですしね……
将来チェルシーを手に入れることができたなら、改めて研究してみたいと思います。

さて、次のページではエリーナのボディについてのレポートを行います。
人形のヌード写真とかも載せちゃってますので、苦手な方はこちらへどうぞ

 

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