マーバ/バンダイバービーってどんな子?

 


ジュリアナ、エリーナに続いて人形界日陰者トリオ、マーババービーの紹介です(ひでぇ)

とはいえジェニーファンであるみなぎは世代的にずれていることもあり、あまり詳しくは語れません。
マテル・バンダイ両者から黒歴史扱いされていることもあり、資料がほとんどないのも事実です。
ジェニー者からはニセモノ扱いされ、バービーファンからはなかったことにされ。
不憫な子ではありますね。時代が悪かったんでしょう、きっと。

マーババービーを語るにあたりどうしてもジェニーとの比較論になってしまいます。
そしてジェニーと比較するならば、手厳しいことを言わざるを得ないのが事実です。
でもドール自身には何の罪もないんですよね。
みなぎはもう彼女達をジェニーフレンドの一人くらいの扱いで可愛がってます。
その辺も踏まえたうえで続きへどうぞ

 


おおざっぱに和製バービーの歴史を振り返ってみましょう。

1962年から日本で発売され始めたマテルのバービーは、当初は米国向けと同じ商品でした。
諸事情で日本仕様のものもいくつか合ったようですが、基本的には同じもの。
日本向けに開発した商品がメインになることはなかったようです。
子供達にもかなり人気があったようです。

が、1970年代の初頭になるとタカラ製のリカちゃん人気が爆発。
対抗してマテル社は日本向け商品の開発を行うものの、売れ行きは今ひとつ。
日本から撤退してみたり、再上陸してみたりとごたごたしていたようです。
その辺のマテルバービーの話はここでは割愛します。

その後、1982年タカラから和製バービーが製造販売されたことはジェニー者にとっては常識です。
俗に言うタカラバービーですね。フェイスプリント等は旧ジェニーとほぼ同じデザインです。
これが日本人に大うけ。業界ナンバーワンの人気を誇るようになります。

1986年、タカラとマテルのライセンス契約が切れます。
普通でしたらここで契約の更新を行うところですが、マテル社側がそれを拒否。
そこでタカラバービーは同年2月14日、『ジェニー』と名前を変えて発売、さらにヒットを飛ばします。
バービーの名前はマテルが登録していますが、人形のデザイン自体はタカラオリジナルのもの。
だからこういうことができたんですね。

マテル側はどうしたかというと、今度はバンダイとライセンス契約を結んでます。
ちなみにこのとき作られた合弁会社の名前が『マーバ・コーポレーション』
マテル+バンダイというセンスのない名前です。
契約内容はタカラと同じ様なものだったのでしょう。
バンダイが人形のデザイン・製造・販売を行い、マテルは『バービー』の名前のみを貸し出す。
そうして新たな和製バービー、『マーババービー』が誕生したのです。

 


でーすーが。
マーババービーの顔があまりにもジェニーに似すぎているということで問題になってしまいます。
どのくらい似ているのか、ちょっとここで見てみましょう。

右が初期のマーババービー。
左が比較対象としてはあまり適当ではないのですが、1990年ごろ購入した台湾製のジェニーです。
こうしてみると、ジェニーかなりアイプリントずれてますね。さすが悪名高き台湾産。
なんだ、騒ぎ立てるほどあんまり似てないじゃん、と思われるかもしれません。
確かに、人形ファンから見れば違いは一目瞭然です。

ですが、パッと見は驚くほど似ています。
遠めで箱に入っているところとか見ると、ジェニーファンでも一瞬戸惑うかもしれません。
人形にあまり関心のないカタギの人からは区別がつかないかと思います。
あとで詳しく仕様を解説していますので、そちらを見れば納得していただけるかと。
目が小さいのでジェニーというよりもシーナとか18ジェニーに似てるかもしれませんが。
アイプリントとか真似したといわれても仕方ないくらいには似ています。

 


日本で受ける顔にしたいのはマーバ側も同じで、ジェニー風デザインを使いたいのもわかります。
でもさすがにマネっこはやばいだろう。オリジナルデザインで勝負しなきゃ。
ウラではタカラとマテルの確執とか、色々あったんでしょうねぇ。
などと邪推しても始まりませんが、話はドンドン大きくなってついには裁判沙汰にまで発展します。
マーババービー発売直前、タカラが販売・製造停止の仮処分を申し立てたんですね。

結局その年の暮れにマーバがバービーのフェイスデザインを変えることで、和解が成立します。
翌年4月には新デザインのマーババービーが発売。それが後期マーババービーです。
大きな目にスラッシュのハイライトを入れたアイプリントは、今度こそ完全オリジナル。
が、その顔は正直……いかにもバンダイって感じ。
少女漫画のキャラドールじゃないか?と思う程度のレベルです。

バービーの世界観をそのまま引き継いだ初期マーババービーと違い、後期マーババービーは独自の設定を持っていました。
キャンパスタウンという街の緑ヶ丘ハイスクールに通っている彼女は放送部のリーダー。
ディスクジョッキーもしている、というストーリーつきです。
オリジナルのフレンドドール『ノエル』『ソフィー』『ステファニー先生』『ケン』も加わり、かなり頑張ってPRしていたようです。
ですが結局マーババービーはジェニーに勝てずに姿を消しました。
やっぱり人真似はいかんよ、うん。

 


1989年春に、マテルとバンダイはマーバコーポレーションを解散。
バンダイがバンダイ・バービー・プロジェクトという部署を作成し、バンダイの製造販売を始めました。
このとき新たにデザインされたバービーを、ここでは便宜的にバンダイバービーと呼びましょう。
バンダイバービーはフェイスペイントが大幅に変更され、かなり美人になっています。
ヘッドもこれまでのバービーとは別のものが使われています。
前述のフレンドドール『ソフィー』のものだとか。鼻筋と顎の辺りが幾分すっきりしたようです。
きりりとした目元に微笑を浮かべた口元。
現在発売すればそこそこいけるんじゃないかと思うのですが……
デザインが斬新過ぎたのか、一度ついたイメージを払拭するほどのインパクトはなかったのか。
いまいちメジャーになりきれないまま終わってしまいました。

1991年にマテル社とバンダイとの契約が切れ、その契約が更新されることはありませんでした。
今回の騒動に懲りたのか、マテルはアメリカ版と同じ製品を日本市場に投入したのです。
コレクター向けの商品は大人達に支持され、日本でもバービーの名は定着しました。
結局、マーババービーもバンダイバービーも短命に終わる結果となったのです。

 


なわけでみなぎさんの持っている3体の和製バービー。
それなりに希少なものではあるわけです。
ですが、希少だからといって貴重なわけではないのが現実。
バービーファンもジェニーファンも興味を示しはしないでしょうね。

今回ページ作成に財団法人日本玩具文化財団のサイトをかなり参考にさせていただきました。
こちらのサイトさんはかなりしっかりした年表つきで玩具の歴史を見られるのでお勧めです。
それと今は絶版ですが、バービー大図鑑という書籍も参考とさせていただきました。
バービーファンの視線はジェニーファンであるみなぎとはかなり異なっていて、興味深い本です。

さて、次のページではボディについてのレポートを行います。
人形のヌード写真とかも載せちゃってますので、苦手な方はこちらへどうぞ

 

UP NEXT